本質に迫るー甲賀吉郎

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消費税増税再延期の数字的不可解

 2017年に予定されていた消費税の8%から10%への増税が再度延期された。増税で消費者が買い控え景気が落ち込む懸念が一つの理由だが、本当にそうなのだろうか?

 そこで、これまでの消費税の増税インパクトを数字で表現してみた。

 消費税額のup率で、過去3回の増税と比較すると、下記のようになる。
1989年 0から3%       無限大
1997年 3%から5%    67%up
2014年 5%から8%    60%up
2017年 8%から10%  25%up  延期!!

 次に消費税込みの価格の試算を比較してみる。その時点で230円だったものが、その時の消費税upでいくらになったかという前提で試算。(少数第二位から四捨五入)
1989年 0から3%        230円-> 237円
1997年 3%から5%     230円-> 235円
2014年 5%から8%     230円-> 237円
2017年 8%から10%   230円-> 234円  延期!!


 消費税のup率では、8%から10%のupは、過去に比較すると大幅に軽微である。
また、増税後の価格試算でも、5%から8%の時に比べると、相当に緩い印象である。
しかも多くの人が今回の増税を織り込んでいた。

   従って、予定どおり8%から10%に増税したとき、買控える行動をとる消費者は、これまでの増税よりもかなり少ないだろうと推察できる。今回の消費税増税は再延期すべきではなかった。

   今回の増税延期は、幻影に怯えた不可解な決定であると歴史的に評価される可能性があり、残念なことである。比較的公平な租税である消費税の優位性を協調した選挙戦でも今回は十分戦えたのではないだろうか。